社長のひとり言2020年

第98回 『家をつくろう』

2021年、タクト設計事務所は開業20周年を迎えます。
よく、まあここまでやってこれたものだとしみじみ感傷に浸りつつも
それもこれも家族の支えや仕事上で協力して頂いている業者さん、
そして何より「良いお客様」との出逢いのお陰だと感謝しております。
(この「ひとり言」を読んで下さっている「あなた様」にも感謝です)

同時に次の節目(30周年)という目標ができてモチベーションが上がったところです(笑)
第82回「勝者の言い訳と敗者の雄弁」もご覧下さい)

25歳の時に一級建築士の資格を取得してそれから約30年近く建築一筋でやって参りました。ハウスメーカーに7年間、その後、建築設計事務所で3年間修業して独立。

その間、実に色々な方々とお会いしました。

出逢ったときは小さな会社だった企業さんが20年間で千葉県を代表する様な大きな会社に成長した所もあれば社長さんがお亡くなりになってひっそりと解散してしまった企業もあり、さらに先代から2代目に引き継がれたフレッシュな会社まで様々です。

今は仕事上のお付き合いがなくなってしまった会社やお客様からも「暑中見舞い」や「年賀状」などで近況を報告してくださる人もたくさんいたりしてとても幸せな事だとありがたく思います。
それを毎年見る度に私(佐藤)やタクト設計事務所の事を覚えていてくれている事に感謝しなければならない...そして何か恩返しは出来ないものかと考える事も多くなりました。

本当に月日が経つのは早いですね。

ちょうど独立開業の時に生まれた長女は20歳(ハタチ)になりそろそろ社会人。他の子供たちもあと数年で親元を離れて独り立ちして行くのでしょう(悲)

一方、自分の事に目を向けるといつまでも若いと思っていても小さな文字が見えづらくなってきたり肩や膝が痛くなってきたりでアラフィフを否が応でも思い知らされる今日この頃です。(汗)

体力的には下降線をたどるのでしょうけど
会社経営や建築士としての経験値は上っておりますので人間関係や物事への対応の仕方は若い頃にはなかったものがついてきたのではないかと思ったりもします。(日々精進です)

それはどういう事かと言えば、クライアント様や協力業者(職人さん)と 打合せをしていてそこから最近特に感じるのですが
開業当時はお付き合いのある方々はほとんど私よりも年上の方ばかりでした。
が!!
それがいつの間にか同年代になり今では年下の方々とのやり取りが多くなっている.....
そこで自分が若い人と接する中で「感覚」にずれが生じない様に、驕り高ぶる事なく謙虚にお客様のご要望を聞きとる「嗅覚」を研ぎ澄ます事が大切だという事です。

今までもそうでしたが
これからの家づくりは『尚更』お客様や職人さんたちと協力して一緒に作り上げていくんだ...という気持ちと感謝の気持ちを忘れずに、業務にあたらなければと強く心に誓いました。

30周年の時に私は何を語っているのでしょうか???

『家を建てる』って事は大変な事も多いですがそれ以上に楽しい事も多いですヨ。

これから「家をつくろう」とお考えの方々全てにこの曲でエールを送ります。

第97回 『STORY』

毎年、お盆のお墓参りの時に思う事がある。
もう17年くらい前になりますが父が亡くなる時に、私は、その最後の時を看取る事が出来ませんでした。

身内で誰も私の事を責める人はいませんが、逆にそれが私を苦しめるのです。

『長男なんだから最後を看取るのがあたり前だろう』とか『お前は親不孝者だな』とか、言ってくれた方がどんなに楽か。

17年間、ずっと自分の判断は間違いだったのだろうか...と、人知れず悩み続けました。

父の身体に癌が見つかり半年間、闘病しておりました。
母と一日おきに病院に泊まり込んで看病の毎日。

たまたま『その日』は母が看病で泊まり込みの日。
私は、その日の午後は長野県から来社されるお客様を迎える準備をオフィスでしておりました。
『その日』は2ヶ月も前からアポイントを頂いていて、とても大切な日だったのです。

携帯電話が鳴ったのはオフィスでまさにその準備をしている最中。
もうあと1時間くらいでお客様が到着される...というタイミング。

母:「お父さんが危篤だからすぐに病院に来て!」

長野県からお越しになるそのお客様は、奥様の実家(千葉県)の敷地内に新築をする計画で、HPで弊社(タクト設計事務所)を知って頂き、事前のメールで数か月間何度もやり取りをしていて『その日』が建物の建築設計監理契約を結ぶ日だったのです。

その時の事は、今でも鮮明に覚えています。
「父危篤」→「すぐに病院に行くべき」

そのお客様に事情を話せば理解してくれるであろう...
そしてその日の契約も延期してくれるはず...

だけど私はそのお客様に何も告げずにそのまま仕事を優先して業務にあたりました。

設計監理契約に掛った時間は約2時間。
私にとっては生涯の中で最も長く感じた2時間でした。

契約がおわり急いで病院に行きましたが、到着した時はすでに父は他界しておりました。
母に聞くと私の携帯電話に連絡した後、すぐに眠る様に息を引き取ったそうです。
(それは後からわかった事ですが)その契約を延期して急いで病院に行ったとしても父を看取る事は出来なかったのです。

以心伝心
仕事一筋だった父が死の直前に私に投げかけたメッセージだったのかもしれません。

そうは言っても私を育てる為に一生懸命働いてくれた父で、職人気質で気難しいところもありましたが本人なりに最大限私の事を可愛がってくれたのもよく分かります。
そうなると最後くらい看取るのが常識なんだろうなあ...と思い「もんもん」と毎年のお盆のお墓参りをする事17回目。

何が正解だったのか、当の本人はもうこの世にいないので、当然、聞く事は出来ません。

なので、その当時、自分で決めた、仕事優先の判断が正しかった...と思える様に日々の設計・施工監理業務に対して誠心誠意向き合っていかなければならないと考えております。

お客様の想い描く理想のSTORY(家づくり)のお手伝いが末永く出来ます様に!
願いを込めて!!

第96回 『あした、はれるかな?』

『If I try my best and fail, well, I’ve tried my best.』

2011年に亡くなったアップルの創業者スティーブ・ジョブズ氏の言葉です。
日本語に訳すと
『ベストを尽くして失敗したら それはベストを尽くしたって事さ』
といった感じでしょうか??
元気をもらえる言葉なので、我が家のトイレの壁に貼ってあります。(笑)

世界中、コロナ禍で暗いハナシが多いですよネ💧

3密である飲食業やイベント企画業界の方々などは休業しなくてはならなくなり大変な状況の中で、外(現場)での打合せが多い建築業界で(タクト設計事務所的には)相変わらずプランの打合せや施工中の現場チェックなどお仕事が続けられている事に感謝をしなければならない…と思い、改めてこういう時だからこそ健康で忙しくも「働ける喜び」というものを感じている日々です。

2020年のGWは「ステイホーム」という事で自宅に引きこもっていましたが、流石に運動不足を感じてマスクをしながら自宅の近くをウォーキングしてみました。
普段は車でサッと通り過ぎてしまう所をしみじみ観察(?)しながら歩いていると…

「ん!?」どこか見覚えのある家が建っています。(汗)
そう言えばその敷地は以前にプランのご提示をした方の土地です。何度か打合せをして間取りは気に入って頂いたクライアントさんでしたが途中から連絡がつかなくなってしまった案件でした。
プレゼンした家(デザイン)とまったく同じ形の家が建っている!!!
つまり『そういう事なんだなぁ~』と怒りを通り越して悲しくなりました。「プランは気に入ったので譲って下さい!」とか「売って下さい!」とか…相談してくれればよかったのに…
ま、言いにくいか(汗)
そのプラン図をもとに建築した工務店も心中複雑な気持ちだったろうなぁ~(苦笑)

一昔前ならいつまでもモヤモヤした気持ちが収まらないところですが、それこそスティーブ・ジョブズ氏の言葉ではないけど『ベストを尽くして失敗したら それはベストを尽くしたって事さ』と前を向ける様に性格も丸くなりました(苦笑)。

ついでにもう一つGW中のエピソード。
次の日の天気予報をチェックして「晴れ」を確認した上で普段はなかなか出来ない洗車へ。
ピカピカにしてワックスもかけて、さぁ帰宅という時
           ↓
激しい夕立ちが…
           ↓
家につくと洗車したその車はもうドロドロ💧
           ↓
『ベストを尽くして失敗したら それはベストを尽くしたって事さ』(涙)

今日もこの「ひとり言」を書き綴った後に洗車に行くつもりです。(リベンジ)
「あした、はれるかな?」

駄目ならまた次頑張ればいい。
色々な事、他人のせいにしたくなる時もあるけど、全ては自分が蒔いた種。
綺麗な花が咲く時もあれば想像と違う花が咲く時もある。

第81回「人は鏡」もよかったら一読下さい。

ベストを尽くしても目標してた結果が出ない事もよくあります。 結果が出ればそれはgood luck。
たとえ結果が思っていたのと違っても『ベストを尽くした…』って事実は残ります。努力をした人だけが分かる悔しさは、ある意味その人の本当の財産かもしれないですね。

第95回『宴の前と後』

タレントの志村けんさんが、新型コロナウイルスにより亡くなられました。

小学生だった時に『8時だよ全員集合』を見て育った身として、昭和の喜劇の象徴だった『志村けん』さんの死はちょっとショックが大きすぎて言葉になりません。
同じ思いの方、多いのではないでしょうか?

色々な人に慕われていたのが追悼番組を見ていてよくわかります。
(人に慕われる…という事も一つの才能だと思います。)

お笑いコンビの「タカアンドトシ」さんが『欧米か!』というギャグでブレイクしてからその後、なかなかヒット作がつくれなくて悩んでいた時に
志村けんさんから『1つヒットすれば大したものだ』『その1つの事をずっとやり続けた方がいい』と言われて心から救われた…と言っているTV番組を見ました。

続けて志村けんさんが『俺なんか「バカ殿」と「変なおじさん」2つで何十年続けているんだぞ』と仰っていて自分を例に挙げて他人に勇気を与えるそのやさしさ…
そのものが「志村けん」さんだったのだと思います。

芸能関係の方々も志村けんさんがいるだけでその場の雰囲気が楽しく面白くなりました…と言っております。
生まれもった『お笑いの才能』とその『人柄』こそ、誰からも愛される国民的スーパースターの証しだったのですね。

付き人だった下積み時代も6年間と長く、才能だけではなく「根性」「探求心」「努力」などは人知れず、人一倍あったのだと思います。

それとあまり話しにはでてきませんが、志村さんを支えたまわりのメンバーにも恵まれた事も大きな要因ではないでしょうか?
もう亡くなられた「いかりや長介」さんをはじめ「加藤茶」さん他メンバーもまた素晴らしい才能の持ち主で、それぞれが切磋琢磨して成長してきたと思います。

憎しみや恨みなどなく穏やかな人間関係の中で仕事や生活が出来るって事は非常にありがたい事で、自分の努力だけではどうする事も出来ない環境だってあると思います。

少なくとも志村さんは恵まれた人々と仕事や生活が出来たのでしょう。はたまた、それは志村さんがいたからそういう環境になったのでしょうか?今となってはもう確認する術がありませんね。

志村けんさんの残した言葉『1つの事をやり続ける事が大切
これを教訓として、私(佐藤)的には日々の仕事に生かしていこうと思います。

お客様の「家」や「店舗」や「工場」…etcに対する要望を細かく汲み取り、プランに反映させ、そこにほんの少しのスパイス(楽しさ、面白さと快適性)をふりかけて、末永くお住い(お使い)頂く間に一瞬でもよいので「あ~気持ちいい~」とか「楽しい~」とか「これぞ我が家」と思って頂ける様な家づくりのお手伝いをお客様の立場に立ってやり続ける事、これが全てだと思います。

タクト設計事務所を選んで頂いたお客様の為に誠心誠意対応する。
日々精進です。

『一時代を築いた「志村けん」さんのご冥福を心からお祈りいたします。安らかにお眠り下さい』

そして、この混沌とした日々をがんばって皆で乗り越えましょう!

第94回『100円のセレナーデ』

サプライズ…って文字通り意外である程、よく覚えているものです。
例えば、突然、誕生日に花が自宅に届く…とか
結婚記念日に御主人が花束を持って帰ってくる…とか
良い事ばかりではありません。信頼していた人に裏切られる…なんて事もず~っと覚えているものです。

先日、仕事上のつきあいのある不動産業の社長(K氏)と忘年会をした席でのことで「人付き合い」の上で非常に勉強になった対応力についてお話しします。
食事会も大いに盛り上って、さて「お勘定!」となった時、

(K氏)
ここは私が出しますョ!
(佐藤)
ごちそう様です。
いつもありがとうございます。
(K氏)
あれれ、佐藤さん、細かい方100円玉出せる?
今、小さいの持ってないや~。
(佐藤)
あ~、これ使って下さい。(100円)
(カード払いではないのね…)(汗)

無事(?)お勘定も終わり
そのままタクシーに相乗りして最寄り駅まで…

途中コンビニに立ち寄る(トイレ?)(汗)
5分後、K社長がなんとソフトクリームを2コ持って帰って来ました。

(K氏)
ハイこれ!
100円分のお返しね!デザート食べるの忘れてたから。(笑)
           ↓
100円をただ返金するのではなく価値をつけて返金する
このテクニックに完全にやられてしまいました。
相手も受けとりやすいし…というかこの場合はアイスですから受けとるしかないですョネ。

そしてこの一連のやりとりの中で何が嬉しいかって…
それは、自分の事を考えてくれている(事)時間そのものだと思います。
プレゼントでサプライズ…
もちろんプレゼントそのものをもらえる嬉しさもあると思いますが、自分の事を考えながらそのプレゼントを選んでくれている(買いに行く時間をとってくれている)事が何より嬉しいんだと思います。

時間はお金では買えません。

貸した側はよく覚えているけど、借りた側はすっかり忘れる…それが積もり積もって関係悪化…なんて事もよくある話。
そのK社長はその場で全て完結して話を後に持ち込まない…逆にそれで信頼を得る→「人付き合い」においてとても勉強になりました。

『この人の為なら良くしてあげたい!!』と思う事、思われる様な振る舞いが重要なんだと思います。

さて、その考えを日々の業務にどう生かしてゆくか…

それは
お客様の要望を聞く時、繰り返し出てくるワード(つまりこだわり)を感じとってプランにきちんと反映する。
そのお客様のこだわりのライフスタイルをイメージしながらプランする。

工事が始まれば施主の立場になって納まりや構造的チェックをしっかりと行う(妥協しない事)。

星の数程ある設計事務所や工務店の中からタクト設計事務所を選んで頂いた感謝の気持ちを忘れない。

小さな感謝の気持ち(お施主様を考える事)の積み重ねが最終的には高品質の建物の建築につながっていくと思います。
オーナー様の建物に対する熱い想いをこちらとしても気持ちでお返しできる様に良好な人間関係を築いてまいりたいと思います。

最後に…
    ダウンタウンの浜ちゃんと槇原敬之さんで歌った
「チキンライス」という曲の歌詞がとても素敵なので紹介。

親孝行って何?って考える
でもそれを考えようとすることがもう
親孝行なのかもしれない

子供の頃たまに家族で外食
いつも頼んでいたのはチキンライス
豪華なものを頼めば二度とつれてきては
もらえないような気がして

親に気をつかっていたあんな気持ち
今の子供に理解できるかな?

人を想う気持ちってかけがえのない宝物ですね。

第93回『安心の裏側』

タクト設計事務所の広告や宣伝でお世話になっている女性(Sさん)が結婚する事になり、先日電話口で…

(佐藤)
いい人にめぐり逢えたのですね~。
Sさんのお眼鏡に叶う方はきっと素晴らしい人なんでしょうね~。

すると意外な返事が…

(Sさん)
顔は正直そんなに好みではないんだけれど
3Aだから決めちゃった…(笑)
(佐藤)
3A…って何?(汗)
(Sさん)
A「飽きない」
A「遊ばない」
A「安心できる」
(佐藤)
ほうほう…なるほど。

遊ばない…という意味は、ギャンブルをしないという事らしい…。

昔は結婚相手に求めるものって、3高(高学歴・高収入・高身長)だったけど、時代が変わると世の女性も、求めるものが変化していくのですね~。

因みに我が娘に、結婚相手について理想を聞いてみると…
「家族や友達、親戚を大切にする人」
「ある程度、お金を稼げる人」
「価値観の合う人」
という回答でした。

今年中学2年生になる息子に同じ質問をしてみると
「川島海荷の様なかわいい娘…」
       ↑
まだまだ子供だな…
『綺麗なバラにはとげがある』という事を教育しなければ…(笑)

参考までにネットで「男女共に結婚相手に求めるものは…」という質問の回答では
1位 優しい
2位 暴力をふるわない
3位 価値観があう
4位 借金をしない
5位 浮気をしない     でした。

つまり、今回Sさんが言っていた「安心できる」という事に集約されるのでしょうね。

我々が携わる建築でも安心安全というワードは非常に重要です。

例えば建築主の皆様はなかなか現場で基礎の全景を見る機会はないと思います。なぜなら基礎の配筋完了後、すぐにコンクリートを打設してしまうからです。
その施工完了した配筋にコンクリートを打設する前に施主様に代わってチェックするのが私たち建築士の重要な仕事の一つです。あたり前ですが建物が安全に建っていられる様に一つ一つの工程で細かくチェックする事がお施主様に安心して頂く事につながるのです。

参考までにもう一つ。
建物の外壁の仕上げ施工をする前の下地の全景を見る事も稀なのではないでしょうか?
これは、建物工事中に飛散物が周囲に行かない様にネットが張ってある為です。
この画像は壁内結露を防ぐ為に外壁材と建物の躯体の間に通気をとるすき間をつくる胴縁という部材を施工した直後のものです。
あたり前ですが建物が完成してしまえばこの胴縁を見る事はありません。

胴縁も基礎の配筋も規則的に施工されていて、とても綺麗です。(壮観!)
もし今、建築中の方がいらっしゃれば是非ビルダーの工事監督にたのんで現場で実際にご覧になってみて下さい。

建物の仕上げを見るより、はるかに安心すると思いますヨ。

これからも建築というフィルターを通じて、建築主の皆様に安心して頂ける様に一つ一つの工程を細かくチェックしていきたいと思います。

「安心の裏側には信頼がつまっている」と思い、日々精進して参りたいと思います。
さてさて、2020年で19年目を迎えたタクト設計事務所を引き続き宜しくお願いいたします!

<追伸>
Sさん、3Aの旦那様と末永くお幸せに!!
今まで色々とありがとう!