社長のひとり言2019年

第91回『終わりを重ねていく』

人生って『出会い』と『始まり』の連続で出来ている…て思ってました。
しかし実は、人生って常に『終わり』を意識して生きていかなければならない…って痛切に感じる出来事がありました。

いつもお世話になっている不動産会社の社長(T氏)より電話があり、これが後に建築士としての仕事のあり方と先に記した人生の終わり方を深く考えさせられた事案となりました。

(T氏)
佐藤先生…小さな仕事で恐縮なのですが
現在建っている建物の間取り図を作成してもらいたいのですが…
やって頂けますか?
(佐藤)
珍しいですね。その手の仕事はいつも御社の社員さんでやられているのに…
(T氏)
その住宅は実は…
(T氏)
最近、ご老人が独りでひっそりとお亡くなりになられた建物なんです。
近所の人がいつも決まった時間に雨戸が開くのに2日間雨戸が閉まったままだったので不審に思って警察に連絡して中に入ったところベッドで寝る様にして亡くなっていたそうなのです。
(佐藤)
それは大変でしたね。
それで何故、私(佐藤)に間取り図の作成の依頼をされたのですか?
(T氏)
そのご老人のご兄弟さんたちが遠方に住んでいてかつ高齢なので親族として何もしてやれないのでせめてその建物を綺麗にリフォームして次の世代の若い方に引き継いでもらってそれで供養としたい…とお考えになられたのです。
(佐藤)
では、現況の間取り図とリフォーム後の間取り図の両方を作成してもらいたい…ということですね。
意図がわかりました。
お請けいたしましょう…
(T氏)
ありがとうございます。
住宅はお坊さんに入ってもらい、お経もあげてもらって
供養もしてありますので大丈夫です。
宜しくお願いします…

という事で…その住宅の間取り図を作成する為に現場に行って参りました。
中に入ると想像していたのと大違いで、色々なものが整然と整理されていて全く散らかっている様子はありませんでした。
キッチンなどはコンロにお鍋ややかんが置いたままで、本当にお亡くなりになる寸前まで普通に生活されていた様子が垣間見れます。しかもお皿やコップなどはきれいに洗ってあってカゴに置いてありました。

もしかしたら、このお婆さんは「いつ死を迎えてもいいように」身の回りの整理をしていたのではないか…と思えてきました。
さらに、この様に普段の生活から穏やかに周りの人々に優しく接してきたお婆さんだったので近所の方々が死の直後すぐに発見してくれたのではないかと思えるのです。

つまり、周りの人々に優しく接する事はまわりまわって最後に自分が人々から優しくしてもらえるという事なんだと思いました。

逆もしかり。
人を裏切り続ける人はまわりまわって必ず最後には自分自身がもっと深く人に裏切られる事もあると思います。

第81回「人は鏡」もご覧下さい

今回、この社長のひとり言『終わりを重ねていく』を書き綴ろうと思ったのにはもう一つエピソードがあっての事なのです。
同じ時期にこの様な出来事が重なるなんて偶然とは思えません。

今年のGWは10連休と長かったので、すでに他界した(大工だった)父の作業小屋の道具を整理しようと何年かぶりに出向きました。
今までも何度も行こうと思ったのですが、父が現役の大工の時に使っていた道具を整理すると(もう亡くなってこの世にはいないのですが)本当に全てが終わってしまう気がして足が遠のいておりました。

さて道具や使い残した材料などを 整理していると
父が大工工事をする時にいつも腰につけていた
『ノミ』などを入れる道具袋がきれいな
紙に包まれた状態で出てきました。

中を開けてみると吸いかけのタバコも一緒に入っていました。

そう言えば生前、父が口癖の様に
「タバコが吸えなくなる時は、自分が死ぬ時だなぁ」と言っていた事を思い出しました。

恐らく父はこの作業小屋で自分の死を悟り、材料や道具を整理しながら最後の一服になるかもしれない…とタバコに火をつけたのかもしれません。
(当時、私がそれを知る由もなく…)
(そこで一緒にタバコを吸ったら何を話していただろう)

5月20日が命日なので父が私をこのGWにこの作業小屋に呼んだのかもしれませんね。

世の中には「数奇な運命」というのが本当にあるみたいです。

今ではこの道具袋は私(佐藤)自らを戒める形見としてひっそりと部屋の片隅に置いてあります(涙)

私がやっている建築士という仕事も常に『終わり』の連続だと思っています。

良質な建物を設計し建築しお引き渡し
そして数年後か数十年後にメンテナンス工事をしてお引き渡し
そしてまた次の物件のお引き渡し

お引き渡しを『終わり』という表現ではいけないのかもしれませんが
一つの区切りである事は間違いないので、私は日々の仕事は『始まり』ではなく常に『区切り』の連続だと思う様になりました。自分の人生の終わりが見える時(知る時)まで
自然体でありつつ小さくてもよいので人々の役に立つ人生を歩みたいと思う今日この頃です。

人に裏切られる事なく穏やかに生きていきたいものです。

ある日突然ラインがブロックされる…なんて事がない様に。(苦笑)
あ、急にレベルの低い話しになっちゃいましたかね~
ま、いっか。そもそもレベルの高い話ししてないから…(笑)

第90回『DS』

『DS』と言えば、建築用語で「ダクトスペース」若しくは「デッドスペース」
ゲーム好きの方なら「ニンテンドーDS」
ディスカウントストアーを思い浮べる人もいるでしょう。

インターネットを利用した通販の方法を示すドロップ・ショッピングの略称でもあります。

電気設備で使われる断路器をジスコンと言って「DS」と示す事もあります。

先日、クライアント様とプランについて打合せをしている時に
「このDS…って何ですか?」という質問があり
私が「ダクトスペースの事ですヨ」と答えると
そのクライアント様が、
かとごす為のスペースだと思いました…(笑)」と言われたのを聞いて以前に雑誌で読んだ『行き場を失う放課後の子供たち』という記事を思い出しました。

このクライアント様が何気なく言った「かとごす為のスペース」というワードは我々建築に携わる者としては非常に重要なテーマです。

あるデータに依りますと小学校低学年が「学校」で過ごす時間は年間で約1200時間程です。それに対して「放課後と夏休み」の時間を合計すると年間で約1600時間を超えると言われています。

にもかかわらず現代の子供たちは「今日は放課後何をしようか…」と考えた事がない子が非常に多くなっていると言われております。
勿論、学習塾や習い事があって考える余地がなくなってしまっている…という大きな問題があるのも事実です。

実際に我々が子供の時と比べて放課後に校庭で子供たちが遊んでいる姿を見る事が減っている気がします。
治安の問題もあると思いますがこの1600時間という莫大な時間を子供たちはどこでどう過ごしているのでしょうか?

ここに興味深いデータがあります。
実際、子供たちに「放課後や夏休みにやってみたい事は何ですか?」というアンケートをとった結果です。
このアンケートには非常に重要な要素が含まれています。
「隠れ1位」と呼んでもよいでしょう。

それは、「誰かと」「何かをして」「過ごしたい」という事です。
何かというのは「サッカー」であったり「野球」であったり「ドッチボール」であったり様々ですが何れにしろ「かと」「ごしたい」のです。
『DS』

家に帰っても両親が共働きで家には誰もいない訳で
そこで仕方なく一人寂しくゲームをしたりして時間を過ごす…

その様な状況でも子供たちが少しでも寂しさを感じずに過ごせる空間が家にあったならどんなに素晴しい事でしょう。
タクト設計事務所で注文住宅を建築して頂くお客様にはこの何となく人が集まりやすい(集まりたくなる)スペースを必ず取り入れる様にしています。

それは一枚のカウンターでも良いですし階段やリビングの隅でも何でも良いのです。

ちょこんと座って本を読んだりゲームをしたり、おやつを食べたり…
日常と非日常の狭間にある「ホッ」と落ち着ける空間。これは大人も子供も関係ありません。リラックスできるお気に入りの空間が1ケ所あるだけで普段の生活に潤いが生まれ、劇的に家に帰るのが楽しくなるはずです。

そんなワクワク出来る『家』が1棟でも多く建築出来れば幸せな事です。それはお客様にとっても我々ビルダーにとっても。

余談ですが…
『DS』についてもう1つ。
2019年4月12日に東京大学の入学式での上野千鶴子先生の祝辞の一部です。

あなたたちが今日「がんばったら報われる」思えるのは、これまであなたたちの周囲の環境が、あなたたちを励まし、背を押し、手を持ってひきあげ、やりとげたことを評価してほめてくれたからこそです。

世の中には、がんばっても報われないひと、がんばろうにもがんばれないひと、がんばりすぎて心と体をこわしたひと…たちがいます。がんばる前から、 「しょせん おまえなんか」 「どうせわたしなんて」とがんばる意欲をくじかれるひとたちもいます。

あなたたちのがんばりを、どうぞ自分が勝ち抜くためだけに使わないでください。

恵まれた環境と恵まれた能力とを、恵まれないひとびとを貶めるためにではなく、そういうひとびとを助けるために使ってください。

そして強がらず、自分の弱さを認め、支え合って生きてください。

「恵まれないかをえる為にその能力を使って下さい」 『DS』です。

タクト設計的「DS」は
好きな活空間をご提供します! という事になりますかね~。

相変わらずのお付き合いありがとうございました。
は、ようなら (DS)。 (です)。

第89回『goodbye 平成。今が歴史になる時』

先日、長男と私(佐藤)の高校の卒業アルバムを見ていた時、長男からの驚愕の一言が・・・!

(長男)
お父さんのアルバムに載っている内容って歴史で習った事だね~。
(私)
!! どれ?
(長男)
これ。レーガン大統領とかゴルバチョフ書記長とか東西冷戦の終結に尽力した人物っていう内容で習ったよ。
(私)
高校時代の青春がもはや歴史なのか・・・(涙)

・・・という話題で
自分も年を取ったなぁ・・・と悲しみ半分。
子供の成長を感じた喜び半分の複雑な気持ちでもんもんとしている今日この頃です。(苦笑)

さて、いよいよ新元号が発表され平成ともお別れとなりますが
そうなると多くの人が2つ前の元号(昭和)に生まれた方・・・という事になりますよネ~。

特に「平成」という時代は自分が世の中に出て仕事を始めた時から今日までの(大げさに言えば)人生の縮図の様なもので、今まで住宅や共同住宅や商業建築の設計、施工監理をした全ての物件が「平成」に着工し、完工したものとなります。

新しい時代に新たに住宅の設計や施工監理を始められる・・・
という前向きな考えがある反面、今まで携ってきた物件が過去の物になっていく様な文字通り『時代の流れ』を感じて感傷に浸ってしまいます。

「平成」という時代の中で仕事をしてきて
「平成」生まれの人材と一緒に仕事をする初めての機会があったあの時の『感慨深い』感情と似たものがあります。

そして今度は新元号の下に生まれた人材と一緒に仕事をする時が「きっと」、「着実に」くるのでしょう。(あと18年後くらいか・・・?)(汗)


『時代の流れ』を感じたエピソードが
もう一つあります。
タクト設計事務所で最初に設計、施工監理をさせて頂いた物件で、かれこれ20年近くになる建物も出てきました。
するとやはりオーナー様の生活スタイルにも変化が出てきて家を売却する・・・
という話しも出て来ます。(バトンタッチ)

その際に新しいオーナー様の要望で壁の一部を撤去したい・・・とか窓を増設したい・・・といった依頼があり、実に何十年ぶりかでその建物に入る時、 当時のクライアント様が大切に建物を使われていた様子が垣間見えたり、その当時の私の設計のテイストを再度、肌で感じる事が出来たりするとその時に、夜遅くまで クライアント様と話し合った事が走馬灯の様に思い出されて改めて良い刺激をもらう事もあります。 これも20年近く色々なお客様や関係者の方々に支えて頂いてタクト設計を続けてこれたおかげだと思います。
(会社が倒産していれば、この様な再会はあり得ませんからね~)

私はその時にこう思いました。
私が設計、施工監理した物件は「商品」や「作品」ではなく大切な「友人」の様なものだと。
久しぶりに会うとその当時に瞬間でタイムスリップできる玉手箱でかつ大切な宝物です。

ですから10年後、20年後、もしかしたら30年後にその建物に再会した時に大手を振って語り合える旧友の様に今、現在、そしてこれから施工させて頂く『家』に対して真摯に取り組まなければならない!!と強く感じました。

形が残る仕事って
本当にいいなあ~って
今、心底思ってます。

そしてその様な仕事に
携わる事が出来て幸せです。

ご依頼頂く全ての
お客様とそれに関わる職人さんに感謝!感謝!

goodbye 平成。
こんにちは 宜しく 新元号 〇〇。

今、この文章を書いている時はまだ不明です(笑)

第88回『夢見るトイレットペーパー』

今回は、普段の生活では切っても切り離せないトイレットペーパーについて熱く語ります。
昨年末に大学時代の友人と忘年会をする機会があって、 そこでの会話…。(その友人は大手ゼネコンから転職して製紙メーカーに勤めています。)

友人(U):
佐藤はいいよな~
建築業界一筋でやりたい事を続けられて…
俺なんか建築やめて、今ではトイレットペーパーだぜ…
私(佐藤):
いやいや
そんな事ないよ~
逆に、トイレットペーパーの開発なんてなかなか出来ないヨ。
第一、世界中からトイレットペーパーがなくなったら異星人の侵略よりも世の中パニックになるよ。(笑)(笑)
友人(U):
でもさ、建築って形に残る仕事だろ。
華があってやっぱり羨ましいヨ。
俺の作ってるものこそ、形に残らない最たるものの代表選手みたいなものだからなぁ~。
私(佐藤):
でも、今のトイレットペーパーってシャワー用とから芳香付とか実は色々と改良されていて日本のトイレットペーパーって世界の中で恐らく一番最先端いってるんじゃないの…
やりがいはあると思うけど…
友人(U):
確かにあの「おしり」の拭き心地は世界トップクラスだね。
コスパもいいし。
コスパ…1mあたり0.6円くらいなんだよなぁ~。

と、なんやかんやで2時間半、トイレットペーパー談義に花が咲き、今まで何気なく使っていたトイレットペーパーですが、今では単価を 気にしながら用を足す新年早々の佐藤です(汗)。

さて突然ですが、ここで問題です。
日本のトイレットペーパーの大きさはある一定の規格で決められております(JIS)。
ではトイレットペーパーの巻きの直径と紙の幅はいくつでしょうか?
下の3つの中から選んで下さい。

①直径100mm以下幅110mm
②直径110mm以下幅112mm
③直径120mm以下幅114mm

普段何気なく使っているトイレットペーパーのサイズを測った事のある人はあまりいないのではないでしょうか?(答えは一番最後で)
実はこのトイレットペーパーのサイズは建築設計をする上で非常に重要なポイントです。なぜなら、トイレ内に収納スペースを設計する事と密接に関係してくるからです。

Ⓐの様にフリーに置く場合はさほど気になりませんが
Ⓑのタイプはキッチリと納まらないといけません。


新築した後に、そう言えばトイレットペーパーをストックしておくスペースを考えていなかった…なんていう方も多いのではないでしょうか?
その場合、やみくもに棚を作ってしまうと後でトイレットペーパーが納まらない…なんて失敗もあるので要注意です。

Ⓒの様に予備のトイレットペーパーを縦に2段ならべる場合も要注意です。 上の段のトイレットペーパーが下の段の金具に干渉してしまっています。
(これはトイレットペーパーのサイズをキチンと把握していない為に起こった事例です) かと言ってトイレットペーパーホルダー1個だと使い切った瞬間に「おしり」をどうやって拭こうか…という心配がつきまといます(汗)。

そこで提案です。
トイレットペーパーがなくなる心配のない壁一面が全てトイレットペーパーの部屋。
そう!トイレットペーパーが主役の部屋!それが究極の「安心して入れる」トイレではないでしょうか!!
タクト設計事務所の次のモデルハウスではそれを具現化します!!

乞う  ご期待!(笑)

(問題の答え)

JIS規格ではトイレットペーパーの寸法は直径120mm以下 幅114mm±2mmと定められていて、米国や欧州でもほぼ同じサイズになっております。(勉強になりましたか?)